小津安二郎の生誕120年と没後60年を迎えるなか、小津映画の魅力について考える。「麦秋」を中南米やイタリアの人に何度も見せた経験があるが、それは小津が描く「日本愛」が感じられるからだけでなく、小津の作品が海外で見たくなる不思議な魅力があるためだ。なぜ小津なのか、その一端を雑文家の平山周吉さんの新著「小津安二郎」で見つけた。その中で、小津の代表作「東京物語」に出演した脇役の山村聡に着目している。この映画では、山村が開業医の長男を演じており、セリフや演技が素晴らしかった。
